この頃暇なせいか,自分の人生について考えることがあり,上野千鶴子・古市憲寿著『上野先生,勝手に死なれちゃ困ります』を購入。本書は古市さん(若者代表?)の悩みに上野さん(フェミニスト)が答えるという対談本。古市さんは,僕よりもたった4つ上だけれども,僕よりもよっぽど多くのことを考えているのだなあと尊敬する。
■親子の庇護関係の逆転に対する不安
古市さんの悩みは,結局彼の自己中心性に起因するのだけれど,実は今の若者の大半が抱える共通の悩みであって,だから僕には共感できた。たぶん声には出さずともみんなが同じ悩みを抱えていて,誰かに答えてほしかったに違いない。そういう意味で,この問題をあからさまに文章化した古市さんに,敬意を表したい。
『僕はいったい何が不安なのか,教えていただけますか』(p. 24)
『ああ,(注:親が生きてるあいだに自分が死ぬほうが)ラクですね。親が悲しむのはわかるんですけど』(p. 38)
上野さんは,古市さん(むしろ今の若者)の根源的な不安というのが,親子の庇護関係の逆転に対する不安(一生子供のままで生きていきたい人間が,子供でいられなくなった時の不安)であると分析する。実はその不安は親も持っている。(この共通の悩みの原因は,成り上がりの団塊世代が,子供を教育するという意識をもたず,自分がしてもらえなかったことを子供にはしてあげたいというルサンチマンだけが残った結果,「魚の釣り方を教える」ことがない子育てを犯したからだとして,この問題を理解する。)